よせふで いつげんが説く
中学生・高校生への“弁証法”講義

三浦つとむ『弁証法はどういう科学か』を
中学生にも分かるような易しい具体例で説いていきます

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臨床心理学とは何か

弁証法を学びたい中学生・高校生のみなさん,お久しぶりです。本当に長い間お休みしてしまいました。私は一年前に大学院に入って,臨床心理学を学んできました。新しい環境と新しい生活の中で,新しい学問を学ぶということで,なかなかたいへんで,忙しさを口実にして,ブログの再開に踏み切れませんでした。スミマセン。

しかし,一年もたってしまったので,心機一転,再開することにしました。内容は,せっかくですから私が学んできた臨床心理学を新たに取り上げたいと思います。臨床心理学やその周辺の内容を,中学生・高校生のみなさんにも分かってもらえるように分かりやすく,弁証法的に説いていこうということです。

まず初回ですので,当然,「臨床心理学とは何か?」について説明したいと思います。みなさんは「○○とは何か?」と考えるとき,どのようなプロセスを辿って考えますか? たとえば「人間とは何か?」と考えるときはどうでしょうか? 仮に,「人間は動物である」と答えを出すと,この答えは間違っているでしょうか?

一般的にはこの答えは,間違っているとともに間違っていない,といえます。間違っているというのは,動物には人間の他にも犬もいれば馬もいますし,蛙や魚もいるからです。つまり,人間=動物だけでは,「人間とは何か?」という問いに対する答えとして不十分なのです。しかし,まずは「人間とは動物である」と捉えることは大切です。大枠で押さえておくことは大切だ,ということです。そうすれば,大きく間違うことはないからです。「人間とは動物である」というのは確かにその通りで,間違っていないのです。大きな目で見れば,人間とは動物であるといってもいいのです。

したがって,「人間とは動物である」と一応の答えを出したあとにすべきことは,動物の中の人間としての特殊性を明らかにすることです。動物は動物なのだけれども,人間という動物は,他の動物とどう違うのか,ということを明らかにする必要があるのです。そのためには,実は「動物とは何か?」という新しい問いに答える必要が出てきます。それに対しては,「動物は生物である」という一応の答えを出してもいいでしょう。すると再び,動物は生物であるけれどもどういう特殊性を持っているのか,つまり植物とはどう違うのか,を明らかにする必要が出てきます。それを明らかにするためには,やはり「生物とは何か?」という新しい問いに答える必要が出てくるのです。すると,それに対しては「生物とは物質である」とかいう一応の答えを出すことが可能となり,では,生物の特殊性とは何か,生物と非生物の違いは何か,と考えていかなければならなくなります。

このように,「○○とは何か?」を考えるに際して,大枠で捉え,他のものとの違いを明らかにしていくというのが,弁証法的な考え方です。○○だけを考えるのではなく,他のものとのつながりを見ていくのです。

では,臨床心理学についても同じように考えてみましょう。先ほどは,「人間<動物<生物<物質」と広がっていきましたが,臨床心理学の場合はたとえば,「臨床心理学<心理学<個別科学<学問」と広げることができるでしょう。

臨床心理学というからには,「臨床心理学とは心理学である」といっても大枠では当たっているはずです。さらに心理学というのは,一つの個別科学です。そして個別科学というのは,大枠で捉えると学問そのものです。

では,順番に考えていきましょう。学問というのは,何らかの対象に関して,筋を通して考えてまとめていこうとする人間の活動,あるいは,その結果できあがった知の体系,ということですね。個別科学というのは,その学問の中で,哲学的な方法ではなくて科学的な方法で対象にアプローチするものです。事実(証拠)に基づいて考えていくということです。しかも,対象を「生物」とか「経済」とか「言語」とか,ある程度絞ったものに限定します。その個別科学の中で,「生物」とか「経済」とか「言語」ではなく,「心」に限定したものが心理学ですね。

少し脱線しますと,心理学の有名な辞典である『心理学辞典』(有斐閣)の項目の中には,「心」もなければ「心理」もありません。そもそも心理学とは「心」なり「心理」なりを対象として,「心とは何か」「心理とは何か」を筋を通してまとめた体系であるべきなのに,最新の辞書にその項目がないのです。これは,心理学がいかに未熟な学問であるかを端的に示していると思います。

閑話休題,では心理学の中で,臨床心理学とはどのような特殊性を持っているのでしょうか? 「臨床」という言葉をヒントに考えてみましょう。『広辞苑』では,「病床に臨むこと」とあります。ごく簡単にいうと,患者に接することですね。ですから臨床心理学というのは,おおよそ次のように定義できると思います。

「主として心理・行動面の障害の治療・援助,およびこれらの障害の予防,さらに人々の心理・行動面のより健全な向上を図ることをめざす心理学の一専門分野」(『心理学辞典』)



心の中でも,心の障害とか心の問題とかに焦点を当てて,それを解決するために研究する学問といっていいでしょう。上記の引用の中で,「心理・行動面の障害」とあることに違和感を覚えた方もいらっしゃるかもしれません。「心理面の障害」だけでいいのではないかと感じるかもしれません。実は,心理学のある立場の人たちは,「心なんてないんだ」とか「心なんていう概念を想定する必要はない」とか考える立場の人々がいます。しかも,マイナーな派閥ではなくて,かなり大きな派閥を構成しています。この立場は,目に見える行動だけを問題にしますので,行動主義と呼ばれています。その行動主義も考慮して,上記のような定義になったものと考えられます。

以上の説明で,「臨床心理学とは何か?」は,おおよそ分かっていただけたでしょうか? 「ん?」と新たな疑問が生じた方もいるかもしれません。その生じるかもしれない疑問については,次回説いてみたいと思います。
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寄筆一元

Author:寄筆一元
1.自己規定:
  三浦つとむ主義者
  自前の認識論構築を目指す
2.最も尊敬する人物:
  南郷継正・薄井坦子両先生
3.近頃気になる人物:
  悠季真理氏
4.趣味:
  ハイレベルの技を味わうこと
5・現状:
  臨床心理士を目指して勉強中

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